2024年03月25日
川崎幸病院 看護部

安彦文

災害医療とは救急医療の一つであり、救急看護に携わる自分にとっては有事にこそ支援に向かうべきだと感じていましたが、機会を得られず東日本大震災の時は結局行けませんでした。そんな時に今回の要請が入り、神奈川県看護協会災害支援ナースの第2班として2024年1月15日から石川県輪島市立鳳至(ふげし)小学校にて活動をしてきました。 

災害支援ナースの基本は3泊4日自給自足での活動となり、看護師4人のチームで医療だけでなく介護や生活支援もします。医療においては日本赤十字や薬剤師会の方々ともコミュニケーションを取りながら被災者への活動を行い、生活支援の部分は自治体の方々と協力し、災害支援の場でも多職種協働を行い被災者支援へ従事しました。 
第一班からの引き継ぎ後、救護所の整理から始めた支援活動でしたが、想像していたよりもルールが整備されておらず自分自身の役割、行動を認識することさえも大変な状態でした。 
過去の経験から72時間の超急性期等でフェーズ分けされた災害サイクルは確立していますが、現場では常にその場での判断を求められます。 
現地の情報が少ない状況から、被災者把握、ニーズの抽出、その情報の共有、次以降の班への引き継ぎも必要であり、カルテから患者情報をすぐ確認出来るという病院では当たり前のシステムがない中での災害時継続医療の難しさを感じました。 
また、症状に対する薬剤の作用・副作用を一部理解しているものの、それを看護師が判断し処方することは本当に良いのか悩み、看護師としての役割限界、包括的指示がない事も今後の課題だと感じました。 


文献や研修、訓練では得られない、実際に現地で経験し感じた事も含めて災害看護を皆に伝えていく事で、興味を持ち学びあえる仲間を増やし、今後の災害医療・看護の発展へと繋げていきたいと考えています。 
今後は医師とも連携を取り院内防災対策チームの体制を整え、南海トラフ地震や首都直下地震への備えをしていきたいと考えております。 


※安彦看護師は、後日神奈川県看護協会より派遣に対して感謝状を贈られました。




避難所の様子


情報共有の様子


神奈川県看護協会より感謝状が贈られた